課題1 コピーライティングで人生を楽しくした話、パターン2

「もう 将棋 はやらない !」

その一言で ぼくの将棋の駒を並べる手はピタリと止まった。

見上げるとAくんは、友達と遊ぶために外に駆けだしていった。

「なんで?」と問いかけるぼくの声は、届かない。

最近は昼休みにA君と将棋を指すのが習慣だった。

思い当たることはあった。もしかして・・

悪い予感が心の中を満たしていく、止まらない焦燥感

・・・

ふと我に返ると、自分の手が駒を並べかけたまま、凍り付いたように、動けずにいることに気がついた。

あわてて駒を片づけて箱の中に戻す。

気分を変えて本でも読もう。持ってきていた文庫本を開いた。何ごともなかったように昼休みをすごす。まあ明日になればA君の気分も変わるだろう。とのんきに考えていた。

しかしその時の自分は、何も解っていなかった。

そしてもう二度とA君と、将棋を指すことは無かった。

自分は人の気持ちが、わからない人間なんだなと気付いたのは、つい最近のこと。

セールススキルとの出会い 約5年前

※「稼ぐコピーライターの条件は、人の痛みに気づくための思いやりの心を持つことだ」

これは本屋で見かけたあるコピーライティングの本の序文。

最初は何を言ってるのか解らなかった。セールスマンというのは、悪者という認識だったから。

人の悩み、痛みをリサーチすることで、商品がその人の悩みを解決する手助けになる。

良い商品が、売れれば売り手、買い手や経済。すべての人が幸せになる。

なるほど・・ 独学で勉強してみる。まよまよ先生のユーチューブもわかりやすくて楽しかった。

ブログを作ってみる。普通にセールスの解説記事を書いてみる。全然読んでもらえない。もともとアウトプットが目的とは言え、モチベーションは下がる一方。記事の更新も次第に遠ざかっていった・・

「ブログはもう止めよう」

「ちゃんと書いてるのになぜ読まれないんだろうか?」

気分を変えて好きなアニメ「地獄少女」を見ていた。

閻魔あいが自分の身を犠牲にして、男の子を助けるシーン。

すると「稼ぐコピーライターの条件は、人の痛みに気づくための思いやりの心を持つことだ」

ふと その言葉が不意に浮かんできた。

思いやりの心?

A君と最後に指した将棋を思い出した。

「もう一回。もう一回」と真っ赤な顔をして何度も、いくら負けても指してくるA君に勝ち続けてしまった。

「バシッ」

悔しさのあまりに、将棋盤にたたきつけられる駒。乾いた音が耳を突き刺す

「もう止めよう」と言っても、聞く耳を持たないA君。

ふつうならかわいそうに思って、一度だけでも負けてあげるのが当たり前なのに。

今思えばまわりの子も、A君に同情する視線を送っていた。

それすらも気付かずにA君に勝ちつづけてしまった。

そしらぬ顔で

淡々と・・

もし中学の頃に「『3月のライオン』の主人公の気持ちを答えなさい」という国語の問題が出たら間違いなく0点だっただろう。

そこでやっとのことで「地獄少女」という作品に惹かれた本当の理由に気が付いた。

閻魔あいが自分を裏切った男の子孫を思いやりの心で許し、悲惨な運命の男の子 女の子を命がけで助けてきた。その尊い生きざまに惹かれていたことに。自分にないものを求めていた。

A君に対しても、少しでも自分に思いやりの心があれば、一度でも負けてあげて友達のままで、いられたんじゃないだろうか?

そして今まで自分が見てきた多くのアニメは、他人に対する思いやりの心が、大きなテーマになっていることに気づいた。

そして「アニメ作品の中の思いやりの心」についてのテーマで、解説した記事を書いてみた。今までの倍、読まれるようになってきた。

そしてマイナーなキーワードとはいえ、いくつかの記事が、検索の1ページ目に出てくるようになった。

そうなると、ほんの少しでも読んでもらえる人の、役に立てているのだという実感がわいてくる。

テクニックばかり覚えて

「記事を読んでくれる人に、少しでも幸せになって欲しい。役に立ちたい」

そんな熱い思いがまったくなかった。

読まれないのも当たり前だった。

思いやりの心が無かった自分が、思いやりの心についての記事を書いている?

あまりの皮肉さに笑うしかなかった。

本当に自分は何も解ってなかったと。

 

カードゲームとの出会い

いつのまにかぼくは、定年前のおじいさんになっていた。ふと見かけたカードゲーム。目にもまばゆい七色にキラキラ光るカード。デッキ構築ゲーム?

将棋は少しの実力差が明確に結果となって現れるゲームだからこそ、精進しがいがある。

でもカードゲームは配られるカードがランダムなので運の要素もある。

ユーチューブで覚えてみる 結構楽しい

また調べてみるとボードゲームカフェというものがあるらしい

「交流会に参加したいんですが」

「初心者の人歓迎ですよ」

参加してみる。みんな黙々とやってる。無口なぼくには合ってる感じ。当然全く勝てない、特に悔しいとも思わない。楽しくて仕方がない。思わず声を出して笑いだしそうになる。

自分の中で何かが変わってしまったのだろうか?

今ならA君と、このゲームをやれば笑いあえる気がすると思う。

そんな妄想にひたりながらも人生は、続いていく。まだまだ長い人生。

まあお迎えがくるまで楽しく生きていこうと思う。

 

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